「熱布バックケア」の効果と注意点
「熱布バックケア」のおもな効果
- 患者さんが気持ちよさを体感できる
- 症状が緩和され,自然治癒力を高めることができる
- 患者さんの身体のコミュニケーションチャンネルが開いて,看護師と患者さんの相互交流が深まる
経験的に知られている効果
- 入浴に近い爽快感や気持ちよさをもたらす
- 入眠が促進される
- 褥瘡予防につながる
- 筋肉のこりや疲労を和らげる
- 排痰が促進される
- 呼吸が楽になる
- 食欲が増進される
- 認知レベルの改善や認知症(特にBPSD)が緩和される
- 看護師と患者さんとのコミュニケーションが深まる
研究により明確にされている効果
- 血行促進 (11)
- 倦怠感の緩和(12)
- 疼痛緩和(13)
- 換気量の増加(14)
安全性
- ・心係数2.2 以下の人以外は,安全に実施できる(15)
禁忌あるいは注意を要する場合
- 禁忌
- 消化管の穿孔・閉塞のある場合
- 何らかの原因により出血傾向がある場合
- 血圧の変動が激しい場合
- 注意
- 意識障害,知覚鈍麻,知覚麻痺がある場合は熱傷に注意
- 川島みどり・菱沼典子(1996):看護技術の科学と検証―日常ケアの根拠を明らかにする,別冊ナーシング・トゥデイ,9,11-13.[↩]
- 菱沼典子・平松則子他(1997):熱布による腰背部温罨法が腸音に及ぼす影響,看護科学学会誌,17(1),32-39.[↩]
- 菱沼典子・香春知永他(2000):熱布による腰背部温罨法の排ガス・排便に対する臨床効果,聖路加看護学会誌,4(1),30-35.[↩]
- 木下彩子・酒井志保他(2005):罨法の部位による腸管促進効果の比較―腹部温罨法と腰背部温罨法,日本看護学会論文集 看護教育,36,42-44.[↩]
- 菱沼典子(2008):経験知に基づく看護技術の実証研究―便秘の症状を緩和する腰部温菴法,日本赤十字看護大学博士論文.[↩]
- 塚越みどり・菱沼典子(1999):熱布による背部温罨法が自律神経活動,背部皮膚温に及ぼす影響、聖路加看護学会誌,3(1),11-18.[↩]
- 江上京里(2002):腰背部蒸しタオル温罨法ケアと交感神経活動及び快さの関連、聖路加看護学会誌,6(1),9-16.8[↩]
- 縄秀志・花村由紀他(2004):夜勤明け看護師における背部温罨法ケアの気分および自律神経活動への影響, 長野県看護大学紀要,6,11-18.[↩]
- 縄秀志(2006):術後患者の回復過程における腰背部温罨法ケアモデルの構築、日本看護技術学会誌,5(2),12-20.[↩]
- 加藤京里(2010):腰背部温罨法の快の性質―重荷からの回復過程における快不快と自律神経活動の変化から,日本看護技術学会誌,9(2),4-13.[↩]
- 田中紀美子(1989):熱布併用による全身清拭の効果(その1)―皮膚温,深層部温の変化から,日本看護科学学会誌,9(3),52-53.[↩]
- 谷地和加子(2012):倦怠感のある外来がん化学療法患者への背部温罨法の有用性,日本看護技術学会誌,11(3),46-55.[↩]
- 縄秀志(2002):婦人科外科患者における背部温罨法ケアの気分,痛み,自律神経活動への影響,日本看護技術学会誌,1(1),36-44.[↩]
- 小宮山宏子・牛込三和子(1989):胸部熱布罨法の温熱刺激の呼吸に及ぼす影響について,日本看護科学会誌,9(3),56-57.[↩]
- 田中紀美子・尾山タカ子他(1992):温熱布清拭及び足浴の末梢循環改善に及ぼす効果―開心手術後患者による検討,臨床看護研究の進歩,4,145-150.効果と注意点5[↩]